
介護福祉士の試験は介護士にとっての登竜門です。これからずっと介護業界で働いていこうと考えている人は取得するに越したことはありませんが、どのような仕組みの資格なのでしょうか。資格の位置付けと試験を受けるための条件、試験を受験している人たちの実態や合格基準などについて一通り把握して対策を立てられるようにしましょう。
介護士として重要な国家試験
介護士として十分な知識と技術を持っていることを示せるようになるには介護福祉士の資格を取得するのが大切です。
国の方針としても介護現場でのリーダーとしての能力を持っている人材として位置付けています。介護福祉士になるには国家試験に合格しなければならないのが原則です。
介護福祉士の試験は毎年一回行われていて、例年1月下旬に筆記試験、3月上旬に実技試験が実施されています。実技試験については介護士としての実務経験が3年以上あり、介護職員実務者研修を修了しているなどの条件を満たせば免除されます。
その場合でも11科目に渡る筆記試験で合格水準に達することが不可欠です。介護の基本から応用に関する知識だけでは不十分であり、医療やコミュニケーションに渡る幅広い分野の問題に正しく回答できるように十分な勉強をする必要があります。
介護現場では高齢者医療の必要性が高まっている状況があり、高齢者だけでなく家族とのコミュニケーションも積極的に行って広い視野からQOLの向上を目指すことが求められているからです。
受験資格の取得が必要
介護福祉士の国家試験は誰でも気軽に受験できるわけではありません。受験資格が設けられていて大まかには4つのルートのどれかを通って試験を受けることになります。養成施設ルート、実務経験ルート、福祉系高校ルート、経済連携協定ルートの4つです。
養成施設ルートでは高校卒業後、介護福祉士養成施設で勉強するか、その前に福祉系の大学などで学んだ上で介護福祉士養成施設で学ぶという道になります。
実務経験ルートの場合には介護士として現場での実務経験を3年以上積んだ上で実務者研修または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を履修して受験可能になる道です。福祉系高校ルートではカリキュラムの違いにより実技試験の免除の有無に違いがありますが、基本的には卒業とともに受験資格が得られます。
特例高校NOVA愛には別途実務経験が9ヶ月以上必要です。経済連携協定ルートはやや特殊なもので日本で介護福祉士資格を取得するのを目的として研修を受けながら就労する外国人のためのルートであり、実務経験を3年以上積むことで受験資格を獲得できます。
これらのいずれかの条件を満たした上で国家試験に合格すると、晴れて介護福祉士として現場で活躍できるようになるのです。
介護福祉士の国家試験の現況
介護福祉士の国家試験は平成29年度で第30回を迎えました。合格率はもともとあまり高くはありませんでしたが、近年になって少し高くなって70%前後になっています。合格のための基準は年々変化していますが、筆記試験、実技試験で合格基準点を越えれば良いというのが平成28年度までの状況でした。
およそ60%が筆記試験、実技試験それぞれの合格ラインになっています。全体の試験成績によって合格基準点が変わるので、安易に何点取れば大丈夫だと考えることはできません。また、気をつけなければならないのが平成29年度の試験から、筆記試験の11科目全てにおいて、最低1問は正解することが求められるようになったことです。
苦手な科目があると合格が難しくなるため、満遍なく学んで試験対策をすることが必須になっています。初任者研修や実務者研修と違って受講すればほぼ確実に取得できる資格ではなく、十分な対策をしておかなければならないことに留意して試験に臨む必要があります。